実務の参考事例
社内OA推進とネットワーク整備 WWW運用コンサルティング 顧客管理データベースの導入 展示即売イベント用ビデオ制作

参考事例:小規模事業所におけるPC新規購入に伴う環境整備とネットワーク接続

要望のまとめと実態調査

依頼主は従業員10名を雇用する事業主で、期首における人員増加に伴い、社内でのPC環境を整え、また従来ネットワーク化していなかった状態を、社内LANネットワーク環境として整えたいとの相談内容でした。当方への打診の理由は、事前に全国展開する大手OA商社に案を問い合わせたところ、PCなどの機材購入とその他のメンテナンスコストなどを含めて、想定予算を大幅にオーバーして見積もりを提示されたため、そのOA商社での実施は不可能と判断し、会社の実情に合わせた実質的な対処を求め、当方へコンサルタント依頼をしたとの事でした。
初回のコンサルティングでは、『コスト面での予算枠は、期首のスポット計上コストであれば100万円を決裁できる』との状況が提示されました。その額面であれば、必要十分な費用で、まずは実施に不安がないことをお伝えして先のコンサルティングへ進みました。PC等の機材導入については、BTO(ビルトトゥオーダー:必要なOSなどを自由に組み合わせて注文する販売形式)によって購入することとし、購入台数及び金額については、先に提示された予算枠内で収まることを、依頼主とともに確認いたしました。実際に事業所に赴いて、社内の環境を再確認したところ、次のような状況でした。

社内OA環境の状況の把握

社内にはこれまで1台のみPCがあり、社員はそのPCで業務資料を作成している

ネットワーク環境の調査

社が契約しているプロバイダのメールアカウントひとつを用いて、各人がそのPCのみで連絡を行っている

全体評価を行う

色々と検分した結果、決算時などの繁忙期には作業効率が非常に悪いだろうことが予測され、効率もさることながら労務環境として現場の不満が大きい

用途から環境構築のポイントを導出する

各社員が、電子メールやMS-Officeを占有して使用できる環境を整える=業務効率を上げる事が目的ですから、機材の発注などの実作業を急ぎたくなりますが、やはり用途に合わせたプランニングと、その先を見越して環境構築を考えていくことは必要です。依頼主にとっても、一度整えた環境に対して、後々で追加の稟議や決裁を行うことは面倒ですし負担になります。そこで、当方にて環境構築後に予想される業務内容の広がりや要求などをリスティングして提案を行い、その点についても考慮をお願いすることにしました。具体的には、以下のような点を提案しています。

問題を掘り下げ、将来までを考慮し、弊害を避ける提案を行う

事例の社内では、情報の共有に問題が生じていた。例を挙げると、一つの取引先に関する情報は、担当する一人の社員しか処理できない。このため、情報やノウハウの共有を行う定型文書をいくつか規定してはどうか?

今回の目的から先の運用までを見越し、発展させて考える

定型書類は、データの一元保全管理と将来的なデータベースへの移行まで考えて、統一フォーマットで電子化し、ネットワーク内の特定PCで共有してみてはどうか?

昨今の問題(情報の流出)などを考慮した提案を

個人にPCが与えられる場合、その使用についての内規を策定すべきではないか?
上記の提案については、依頼主にとって全て得心の行く点ばかりであり、並行して適用することになりました。

機材の納品とネットワーク敷設等の実作業

社の営業外日にスタッフを派遣し、インフラを整える作業を行います。この例では、事前に機材などの購入を代行し、更に訪問の上以下のような作業を行っています。

インフラに関する作業

PCなどの配置・電源やネットワークなどの物理接続作業と敷設

利用環境のベースを構築

ネットワークの論理接続を行う。Windows標準のファイル共有などをセットアップ

実際の運用に必要な各種作業

管理者権限の設定と、社内管理者(但し技術は不問。当方との連絡窓口となる人物)との簡単な打ち合わせ

社内教育の実施

事前に作成しておいたレクチャー用レジュメを用意し、社内管理者にまず説明を行う

どのようなレクチャーを行ったか

レクチャーは、依頼主の業務内容でその時間が無いために、講師として現場で説明せずに、社員全員にレジュメを配布して一読してもらうことで行いました。従業員それぞれにPCが備えられたため、レジュメの末尾に、情報流出への危機意識と管理・対策を重視するように記載しました。危機意識を持つことがなぜ大事なのか・情報の流出がどれだけのダメージを与えるかを、実例を挙げながら説明し、その意識を徹底して身に付けるように以下のように示しています。

情報の重要さを十分認識させ、管理意識を徹底させる

社内の情報を社外に持ち出さない。プライベートの時間に業務を行わない。そのために効率よく業務をこなし、個人それぞれが社内で無駄な時間を過ごさず、業務と私的な時間をそれぞれ重視することについて考える

社内の環境を私用で使わないことの徹底

プライベートのデータや情報・機材などを社内に持ち込まない。デジタルデータ始め、個人的な情報の格納や、伝達・やり取りを社内で行わない。掲示板の閲覧や、個人的なウェブメールの使用、メッセンジャーなどのコミュニケーションツール、プライベートな物品のネット購入や契約等は決して行わない

情報流出の最たる原因・P2Pの徹底排除

社内でのP2Pソフトウェアは固く禁ずる。また、情報流出は個人が利用しているPCから流出するケースが大部分であり、その流出はウィルス対策ソフトなどでも完全に防ぐことはできないことを、きちんと理解する
昨今、P2Pソフトウェアによる情報流出が後を絶ちません。ウィルスやスパイウェア・アドウェアを作る者は、その技術やOSの弱点だけではなく、詐偽行為などでもつけこまれる隙となる『欲深さや弱点』にまで長けています。ついクリックしてみたくなるような文言・トラップ、ウィルスソフトへの過信、様々な弱い部分から、情報が流出する可能性があるのです。情報流出へのクライシスコントロールによって事前に対策しておこうと考える経営者の方からのコンサルティング依頼も増えました。その対策は、ネットワークやサーバーレベルでの対策(ホームページ閲覧の制限・ネットワークのブロック・監視や検閲)によって行われることもありますが、まずは社内の管理を徹底することと、自身がその経路になる可能性が十分にあることへの危機意識を各人が持つことが、最も大事ではないかと思います。
上記ケースでの作業@稼動日数は
コンサルティング:1日/施策案出等の実務準備:3日/実務作業:1日=5日稼動
交通費などの経費を除く対価は下記のようになりました。
コンサルティング料として  ¥18,900−
購入代行等の労務費として  ¥29,400−
機材セットアップ+レジュメ制作料として  ¥59,850−
計 ¥108,150−
(※料金はお取引内容で変わりますので、お見積もりにはお問い合わせをお願いします)

Appendix:ネットワーク利用事案でのチェックポイントと要点

この事例に関する案件でのチェックポイントはここ!社内ネットワークに関するヒント:Windows・LINUXなど、社内で使用しているPCコンピュータをネットワーク接続し、情報やデータの共有・eメールやウェブの閲覧(ファイアーウォール等含む)・ネットワーク技術を利用した業務(社内管理システム・データベースを使用した業務)を行うことを社内ネットワーク化といいます。ネットワークを導入していない企業であれば、社内ネットワーク化を行うことによって、多大なコストダウンと恩恵を受けることが出来ます。ごく簡単な例では、社内LANの構築によるファイル・一台のプリンタ・ファイルスペースの共有だけでも、業務の効率が大きく改善されます。