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2007年10月 アーカイブ

2007年10月10日

コンサルティング契約について

コンサルティング契約について、契約内容・やり方・対価(料金)など、不明な点が多いのが一般的な認識だと思います。当方での業務内容や期間などを含めて、記事にしてみたいと思います。もちろん、他の企業では異なってきますので、あくまでも当方の業務の流れとして、参考程度にお読みください。

●依頼内容
 当方ではPCやネットワークに関する多数の技術を所有しておりますが、コンサルティングの依頼内容は本当に様々です。官公庁から、コンサルティングと開発込みでデータベースシステム構築の依頼があるかと思えば、次の日には一般の方から、PCが壊れたんだけどどうしようという電話が入ったりします。
 先の例のように、お問い合わせ元に計画性のある依頼内容でしたら、改めて折衝をすることになりますが、後の例のような一時的なご相談で、なおかつ問い合わせ内容に関して簡単にお答えをお返しすることでお力になれる件については、その場で提案を差し上げています(これでは無料相談で労務時間を失ってしまうのですが、頼られてのお問い合わせですし勉強にもなりますので、出来るだけお答えをするようにしています)。
 もちろん、当方の能力でしか発揮出来ない案件が最も双方のためになるのですが、長くやっていると、本当に色々なご相談があります。お問い合わせを受けるこちらでも驚くような、意外な内容があったりします。そのおかげで、勉強の幅・知識の習得や、新たな事業指針が得られることもあります。
 そういった意味では、お問い合わせを頂くこと・それだけでも、当方にとって面白いと思います。ですから、依頼内容については、基本的にコンピュータ関連のお話であればどんなお話でもお聞きしたいと思いますし、時間的・内容的にお力になれる可能性があって、「困っていることややりたいこと」について当方から提案が出来るようであれば、より具体的にお話をお伺いしたいと考えています。

●スポット契約
 スポット契約とは、単発の案件に対してのコンサルティングを行う契約をいい、多くの依頼主の方がこの契約方式を取っています。◎◎という問題に対して、■■という形で結果を出す、この時点で業務の完了となります。
 例えば、「メールマガジンを発行したいが、その為に必要な内容と経費を産出し、具体的な実施までのフローを検討して欲しい」というコンサルティング依頼があったとします。この場合、その資料を提出することで、契約が完了となります。そこから更に、「メールマガジンの運用状況を3ヶ月間に渡って分析し、その効果測定を行って欲しい」という依頼が付与されれば、その場合はその期間内が契約対象となります。
 実際に問題解決や新たな行動指針を必要としている依頼主の多くは、既に問題意識をお持ちであり、その点に対して納得のいく解決策や妥協案を得ることを目標としていらっしゃいます。その性質上、担当者・部門クラスでのお問い合わせなどは、ほとんどこの契約で処理が行われています。

●期間契約
 期間契約とは、案件の存在に係わらず、月額・年額でのコンサルティングフィーを申し受ける契約です。主に経営者の方が直接ご契約を締結され、上位に位置する依頼主であり、当方は相談役としての役割を果たしています。例えば、ITを導入された企業で、何かあったときに相談できる信頼感と安心感のために、年次契約を結ばれるようなケースです。
 ITを導入している企業の場合、ちょっと詳しい従業員に管理を任せる企業がありますが、当方が期間契約をしている企業では、
×「当該従業員の実務時間・能力をすり減らす、間接作業によって固定費負担が増える」
×「正社員雇用される従業員は、本業のスペシャリストとして労働時間を活用して欲しい」
×「従業員の流動によるノウハウ流出も、運用出来なくなることも、いずれも望ましくない」
×「かといって、IT専属の管理部門を置くような状態ではない」
などの理由で、当方へのコンサルティング契約を行っていらっしゃるようです。
 相談役として少し近い例を挙げるとするならば、IT関連のセミナーが似ていると思います。しかし、大勢の人に与えられるノウハウは実はそれほど重要でもなく(※受け売り・基本的過ぎる内容など)、大勢に与えられる時点で、既にノウハウとしては拡散しています。そのようなセミナーと比較してみると、仮に月に一度、当方が相談役として招ばれた場合、ここ(ホームページ)では絶対に書かない、ノウハウ・時事・動向・現状分析などが、依頼主に対して提供させて頂いています。
 当方の立場から考えますと、期間契約は業務の自由度を制限される点に不自由は感じますし、また相談役としてのノウハウ供与の密度を下げることも出来ませんので、依頼主様を選ばせて頂く結果になってしまうことを否めません。また、双方のコストを加味できずに担当外の内容まで役務化する経営理念の方とは、期間契約ではむしろお付き合いが難しくなりますし、そういった意味では、経営者として・また人格として一流の方が、期間契約によって当方の時間と能力を購えると言えます。こちらは、スポット契約とはまったく性質の異なるコンサルティング契約です。

●業務への取り組み
 スポット契約では、依頼主の問題点を明確にし、わかりやすい形で提案までお世話が出来ることが結果となります。短期間であり、問題提起が明確であるからこそ、もっとも力の入る業務です。
 期間契約では、費用負担・事業内容・経営者様に対して、いざと言うときの安心感と、相談役としての役務を果たすことを主眼においています。
 実際の業務では、契約内容にも様々なケースがありますけれども、ご相談は随時お待ちしています。当方と依頼主、どちらも満足の出来るお付き合いが出来れば幸いと考えます。

2007年10月25日

linuxサーバの省電力化・リプレース計画

手元で使用しているlinuxサーバのリプレースを思い立ちました。こういった場合、一般の企業でサーバを社屋・またはデータセンターで管理しているならば、その用途や事情に合わせてハードウェアメーカーのブレードサーバや高可用向けサーバなどを購入してリプレースすることになり、OSの導入から始まって、使用環境の整備・データの退避や復元など、費用の掛かる一大案件になるのですが、当方の場合は、小規模なサーバ群を組み直す規模です。それでも、かなり慎重に事を進める必要があります。

リプレースの理由は、老朽化機材の交換・カーネルでの構築・各サーバソフトのバージョンアップです。また、最近は省電力機能を備えたCPUがほとんどですので、そういった面も考慮したいと計画しています。と言いますか、むしろその点でリプレースを思い立ったのです。

少し脱線して、サーバ市場での省電力動向について。省電力サーバは以前よりもいっそう重視されるようになり、クラスタリングなどの環境下で、電力消費と熱を抑えるために、省電力化されたCPUを使用したモデルが、今まで以上にベンダー各社からアピールされてきています。電力消費が大きければ、発電資源の消費(=電気コスト)の増大は避けられず、また伴って発生する熱による、部品の動作不良・損壊が懸念されます。同じ動作が省電力で得られるならば、熱を持たない分、サーバ設置環境に優しく、ついでに地球環境にも優しいという状況が生み出せます。

更に脱線しますが、通常利用するクライアントPCにも、省電力は効きます。といっても、普通に買ってきて使っていると、そういったことは全くわかりませんし、気にも留まりません。これが、ワットチェッカーという電力計測機を使ってみると、色々な電気製品がどの程度電力を使用しているのかがW(ワット)数でわかり、出来るだけ無駄な電力を下げてみたいという気持ちになります。

今、このエントリを書くのに使用しているPCは、AMDのOpteronというサーバ向けのプロセッサを搭載したPCです。このPCには、出来る限りの省電力化を行っています。何も考えずに使っていると、ただ通電しているだけで皮相電力130W・有効電力100Wの電気を消費しますが、それを、通電しているだけの状態のときには電圧とクロックを下げるようにすることで、有効電力60Wまで落としています(※もしサーバ用に使うとすれば、部品を減らして電力をもっと減らせるでしょう)。更に電源を品質のいいもの(力率と変換効率の良いもの)に交換したので、皮相電力と有効電力の比率が1:0.99になり、皮相電力との差分の無駄を抑えることが出来ます。今のように地球温暖化への懸念・またエネルギー資源の石油が暴騰している状態だと、「電気代」というお金の問題もなんですけれども、環境のためにも少しくらいは消費電力を控えたいと言う気持ちになりますね。

本題の、当方のサーバリプレース計画に戻ります。linuxの場合、cpufreqdというデーモンを常駐させ、CPUの負荷率を監視させることによって動作クロックと電圧を自動的に制御することが出来るようです(※適当な時間が無く、まだ実験していませんが)。つまり、サーバが忙しくなるとクロックが上がり、すばやく処理をこなす。暇なときは、低い電圧とクロックで、出来るだけ電力を抑えている。こういう仕組みです。力の入れどころと抜きどころのあるサーバなんて、ちょっと面白そうな気がしませんか?実際にサーバーを組む際に、レスポンスと電力のバランスを考えて設定してやれば、いい出来になりそうです。ハードウェア構成・部品の調達から始めて、2008年には新しいサーバを稼動させたいと思っている次第です。

「古いものを大事にする」ことは、多くの場合に美徳の意図を持って使用される言葉ですが、電化製品に関しては必ずしもそうではありません。例えば、エアコンや冷蔵庫などは技術の進歩により、消費電力を下げた上で更に性能もアップしています。20年前のエアコンをぶん回すとすると、性能の低さと劣化でなかなか冷えず、そのくせ消費電力は今時のエアコンの何倍もの電気を使ってしまう…ということになります。ずっと電気を付けっぱなしで、ある意味サーバと似ている冷蔵庫も、最近の製品のほうがはるかに低い消費電力で稼動しています。買い換える際には、家電リサイクル法で古い資源を再利用還元することが出来、ごみを無駄に増やすことにもなりません(※しかし、消費者がリサイクル費用を負担する為に、不法投棄の問題が増えることや買い替え促進につながらないところが残念ですが)。

ケチという言葉の響きには、「合理性を欠く」「本末転倒」というニュアンスが漂います。今の状況をよく見渡して上手に合理化を図ることは、当方でやっている仕事にも通じます。貧乏性で何も見えずにただただ金をケチって、最終的には時間と資金をドブに捨てるのと同じことになってしまった、そんなケースも聞きます。もし、過去にそういう失敗をしてしまった方がこの文章をたまたまお読みになっていたら…「本質的な部分に気づかない」「チャンスに弱い」「力の使いどころがわからない」「ケチが災いして結局つまらない無駄遣いをしてしまう」…そんな点を、振り返ってみてもいいかもしれません。私は、そういう失敗が多かったので…

2007年10月29日

ITコンサルティングの実像

ITコンサルタント・ITコンサルティングというと、大手のSIer企業や情報を取り扱う大企業などでは、クライアント・上流・下流を結ぶ立場の役務として、それほど遠い存在ではありません。セットになって派遣されてきますから、当たり前のようにいらっしゃいます。けれども、ITと係わり合いの薄い大多数の人にとっては、ITコンサルタントって何するの?という印象ではないかと思います。そこで、一例ではありますが、ホームページの制作発注を題材に使っての説明と、「実像」と言っては大げさですが、まつわる話などを。

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中堅・中小企業の事業主様ですと、【新しいビジネスモデルを模索している】【社内へのシステム導入】【ウェブサイトの開設】という具体的な要望を持っているにも関わらず、まず最初に何をどうしたらいいのか?という疑問で途方に暮れてしまうような状況が、かなりのケースを占めるのではないかと思います。

仮にウェブサイトを発注して公開したい・と思った場合、ホームページ制作会社は山のようにあります。取りあえず検索エンジンで色々探してみるものの、広告を出しているような大規模制作会社は制作費が高い・さりとて、料金で決めていいものなのかどうか?取引相手として、信頼できるかどうか?など、序盤から手間隙が掛かり、本業以外にそれらに頭を使うだけでうんざりしてしまうと言うお話を、よくお聞きします。

問題は、ITという業務内容では、納められる品物が「よくわからない」ことにあります。ホームページと言っても、単純に価格で見積もりを取ればいいのか?デザインが綺麗な自社ページを持っていることろが望ましいのか?それとも、実績を謳っているところが安心なのか?など、発注先選定・価格と納品内容の判断材料は、折り合いがありそうでないようなものです。価格破壊的に10,000円で作りますと言うところもあれば、修正3回まで保障・30万円で作るところもあれば、初回は10万円で作り、5万円@12ヶ月のサーバ費用と維持管理オプションで制作をするところもあります。それでも、出来上がってきた結果が「どういう点で良いのか」「どういう点で悪いのか」の判断は、一概に付けられません。費用対効果が直接利益でしか判断しづらいのはどの業種も同じですが、システム導入にしろ開発費にしろ、これだけ値段がバラバラな業界も珍しいと思います。

そういう曖昧さがあるがゆえに、IT業界は、有象無象が跳梁跋扈する業界になっています。そして狭い業界ですから、色々と悪い噂も聞くわけです。「○○って会社の××、あいつとは2度と仕事はしたくないし、あそことは金輪際取引は持たない」とか、「△△っていう会社に制作を任せたら、高額の請求にも関わらずとんでもないものを納品してきて、クライアントが尻拭い業者を必死で探しているらしい」とか、色々な事を耳にします。

ITコンサルタントは、問題点の解決を考える職業ですが、色々な問題に対処する「専門のブレイン」の役割を果たすと私は考えて実施しています。上記の例の場合、代理店経由で探すとします。その場合、代理店は単に紹介や仲介の場を与えているのみで、実際に発注する業者の選定は結局自分で考えなくてはならなくなりますし、代理店もその企業の納品内容までは一切責任を持ちません。しかし、コンサルタントの場合は、顧客との密度が高いわけですし、最終的には顧客に利益を与えることが仕事であり実績になります。その為に、一歩踏み込んだ分析や調査を行い、また納品されてくるものの価値判断も行います。そういった意味で、ITコンサルタントを活用したほうがより好ましい結果を得られると考えます。

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ただし。「コンサルタント」と聞いて、どんなイメージを持たれますか?「何が出来るのか得体が知れない」「胡散臭い」「インチキ臭い」と思う方が、かなりいらっしゃるのではないでしょうか?そのイメージは、かなり当たっています。火の無いところに煙は立たず・の譬えもあります…

ITの全体業務では、プロジェクトマネージャ・プログラマ・システムエンジニア、色々な人が関わります。そんな同業の人たちから、最も悪い目で見られることが多いのがITコンサルタントです。「全く仕事をしていない」「週1回の中身の無い会議に参加して、なんかわけのわからないことを言ってそれだけで高い労務費を取る」「たまに顔を出したかと思うと引っ掻き回す」「クライアントとの調整が主業務なのに、折り合いが付けられない」…これほど同業者に嫌われる端的な「職種」も、なかなかありません。

ITコンサルタントは、IT業種の中で最もスキルが低くても勤まる仕事です。勤まるというか、名刺を刷れば自称できるくらいな感じです。プログラミングが出来なければプログラマは名乗れませんが、それなりにコネがあって、ちょこちょことあちこちに顔出しだけして「実績」にしてしまえば、もうITコンサルタントの出来上がりです。もちろん、そういった人は数少ない(と思う)ですし、中身を見透かす人も多いと思いますけれども、コネでITコンサルタントが呼ばれてきた場合などもありますね。

できれば関わらずに後難を避けたい…もし、そんなときがあれば、人間力と能力は、ある程度類推できます。

  • お調子者の軽薄さは無いか?
  • 否定的要素にも触れることを厭わないか?
  • 単純な問いに、具体的な即答が出来る能力があるか?
  • 専門用語で自身のイメージを粉飾しようとしていないか?
  • 本人にとっての「殺し文句」の同じキーワードを、何度も乱用していないか?
  • 脈絡に関わらず、ずっと同じことばかり言っていないか?
もっとも、この程度で底が割れてしまうというのも考えものですが…

※敢えて、ITコンサルタントについての批判的な面・極端な例も書きました。

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