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2017年01月 アーカイブ

2017年01月26日

Linuxサーバー(USBメモリ運用)の実績と評価

linuxサーバのHDDをUSBメモリに交換の記事を書いて、USBメモリ(SDカード)によるサーバーの運営から2年少々が経過しましたので、その間の運用実績を記します。

SDカードは故障・速度低下などの全くトラブルがないまま、常時起動にての運用が続いています。書き込み量などがそれほど多くない環境下とはいえ、USBメモリをストレージに使用してLinuxサーバーを稼動させる実証実験は、十分に達成できたと考えます。

大規模なアクセス要求が発生するサーバーにおいては、NAND消耗のみならずレスポンスなどの点も含め、このようなUSBメモリによるサーバー構築をお勧めできませんが、中小企業におけるウェブサーバー程度のシステム・また部内で使用する閉じたイントラ環境など、小規模・非クリティカルな運用であれば、RAID1(10)による多重化・保守部品の用意を大前提として、USBメモリによるシステムの構築運用は可能と考えています。

レスポンス(速度要求)に関してですが、Linuxのキャッシュメモリに収まる小規模なファイルを扱っている分には、読み書き共に速度の問題は感じられません。キャッシュからあふれる細かい書き込みが発生するなどの状況では、USBメモリなりのウェイトが発生します。この点を改善するには、RAID10の構成本数を増やす・複数のUSB2.0コントローラー(一つのコントローラーは480MBpsを共有してしまう)で分けるなどが考えられます。

トラブルとしては、USBメモリ(カードリーダー)とサーバーとの相性 がありました。まず、起動シーケンスに入る前にRAID及びファイルシステム(ext4)を認識できないSDカードリーダーがありました。この場合、システムは起動できません。他にも、終了シーケンスの際にRAIDの状態を正しく保存できず、次の起動シーケンスでRAIDの状態がnot cleanとなってresyncが行われてしまうカードリーダーがありました。いずれも100円ショップで購入したものですが、接続サーバーのBIOSに対して返す情報・USBメモリへの制御など、もしかしたら起動用途には向かない可能性があるのかもしれません。

但し、私見による推測ではありますが、これらのトラブルは必ずしもカードリーダーだけに問題があるとは限らず、サーバー機のBIOSによるUSBの制御にも起因するのかもしれません。最初からブートドライブとして想定されているSSDやハードディスクでは、エンタープライズ用途でないコンシューマー向け製品を使用しても問題に遭遇することはほぼないので、この点は検討すべきデメリットと言えます。

万が一カードリーダーが壊れてしまい、交換品によって上のようなトラブルが起きた場合には、業務の一時停止や復旧などが発生します。システムを構築し、ブート・運用・終了など全てにおいて問題がないことが確認できたら、保守部品として同一品を購入・保管しておくほうが、故障時の対策として適切と思われます。

Raspberry Pi をはじめとした省電力・省スペースの小型PCも増えてきたので、あくまでもミッション・クリティカルではない小規模なシステム運用という前提ではありますが、USBメモリによる安価なLinuxシステム構築を検討してみても宜しいかと思います。

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