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WallSt.発の金融ショックを見ながら…

かつて、暗黒の日曜日(Black Monday)と呼ばれた、ニューヨーク市場に端を発した経済危機がありました。本質的な原因はどこに潜んでいたのか?金融経済は実体経済と共存する形としてどうあるべきなのか?その答えは誰にもわからないまま、金融経済では規制緩和と投資(投機)ブームによって様々な金融商品が生みだされ、より複雑に・より投機的な性格を増していき、ミニ株・FX取引など、一般の人たちも投資という形で金融市場へ参加しやすくなった時代になりました。投機熱に支えられて、株式による資金調達の容易さは高まり、新興市場と呼ばれるマーケットには、IT関連を筆頭に雨後の筍のように多くの企業が上場を果たしました。企業買収においても、1987年当時のM&A手法よりも更に資金調達が容易となりました。買収後の相手先資産を担保にしたLBO(レバレッジド・バイ・アウト)による資金調達も一般的になり、時間外取引を活用(?)した株式の大量取得も記憶に新しいところです(※この取引に資金を提供した企業は、一般の方にとっても今週からだいぶ有名になりました。ついでに、資金を調達した企業の元社長のインタビューを某所で読みましたが、当方の印象では、ITについての捉え方も現状認識も、「いつの話?」といった感じでした)。

あれから20年以上経った今週。再び、ニューヨークのウォールストリートからショックが起こりました。CNBCによる記事はBloody Sunday: Wall Street Is Hit by Financial Tsunamiと題が付けられ、NYSEから全世界のマーケットに不安が広がりました(広がっている最中です)。当方も、CNBCを一日見ていました(※以前にも書きましたが、当方は金融商品は一切所有しておりません)。しかし、土日をはさんでJPNUSDの幅が4円近くも動いたのを見たのは、始めてかもしれません。そして、他の企業からも信用不安が発せられそうな情報も流れています。この状況にあって、あえて現状をくだくだしく説明したり分析するのは、当方の仕事ではありませんし、むしろ当方よりも詳しい方のほうが多いでしょう。

ただ、金融経済にこういったショックが与えられたのは、決して悪いだけの側面しかないとは思っていません。「お金ってそもそもなんなんだろう?」「経済のグローバリゼーションって、なんなんだろう?」「グローバル競争は競争だから勝ち負けがあるけど、最後の勝者ってどういう立ち位置なんだろう」そういった疑問を、色々な人が、色々な立場で考えるきっかけになるでしょうね。

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個人的な経済活動への感覚では、モノの大量生産・大量消費が中心産業の時代から、証券化された商品を担保に重ねて利益を求めていく金融・投機が世界を動かす流れとなりましたが、今後は、もっと無形の・例えば人が人に対するサービスの事業価値が注目されるポイントになると考えています。うんざりする国民年金問題・後を絶たない食品偽装などによって、サービスの本質やあり方が見直され始めてきている状況もあって、サービスを受ける側の意識が変わってきています。

あんまりな状態の介護事業・企業の押し付け気味なITサービスなど、そういった事業が見直されて、高度な内容と満足度の高い事業が選択されていくと思われます。同時に、貨幣の流動性が、今よりも少しだけ低くなるかもしれない・とも思っています。経済成長に右肩上がりのトレンドが当たり前ではなくなる時代が到来しつつある・という見方です。

当方の仕事も、人へのサービスを提供する側面が大きく、ITコンサルタントとして事案に関わる以外でも、電話でちょっと問い合わせを受ける・見解を求められる・他企業の提案に対する効果や根拠を確認して欲しいなど、直接の事案ではない「お問い合わせ・お付き合い」が、コンサルティングの付加価値になっています(※もっとも、大手のコンサルティング企業に気軽な電話はしづらいですからね)。

なんかの漫画か本かのうろ覚えですが、明治期?江戸期?に日本を訪れた外人さんが人力車を見て、「人を乗せて人が引っ張るなんて、なんてひどい話だ(※産業革命の優越や、奴隷のイメージと繋がるのでしょう)」と言ったという逸話があったように思いますが、サービスに見合う対価が成立していれば、ひどくもなんともありません。むしろ、人力車には色々な付加価値も付けられますし、観光地ではサービス形態として今でも残っています。お稽古事のお師匠さんや、家まで来て回ってくれる髪結いなど、ピンハネする元締めや対応マニュアル無しに、人が人に対してきちんとした内容でサービスを行う仕事は、かつての日本ではそれほど珍しくないように思えます。そして、いいものにきちんと対価を支払う。経済構造としては矮小で古臭くて、経済学や金融工学などの立場で見ればバカらしいにも程があるんでしょうけれども、暮らしているのは昔も今も同じ「人間」なわけでして。

当方は、日本は遥か中世の昔から、モノ作りやサービスに関して長けていると思うんです。もし、国際競争力への圧迫感や、経済の進歩によってどんどん変わっていくものがあるとしたら、自己責任(※=暗に、自分さえ良ければいい・とにかく自分だけという含みもあります)の肥大・何よりも利益を重視してしまう傾向、そういった点かもしれませんね。

今、ユーロとドルが嫌気されて円が急騰しています。このことが、日本の金融経済にどういった影響を与えるのか?金融経済が軸で経済が動いていくのか、それとも…?1年後の経済はどうなっていて、世の中はどうなっているのでしょうか。

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2008年09月17日 04:04に投稿されたエントリーのページです。

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